1.最初に確認するのは、別居後の生活費です

別居前に考えたいお金は、①引っ越しなど一度だけかかる費用、②毎月続く生活費、③相談や手続にかかる費用の3つです。まとめて考えるより、分けて書き出すと見通しを立てやすくなります。

毎月の生活費には、家賃、食費、電気・ガス・水道、通信費、交通費、医療費、子どもの学費や保育料などがあります。年払いの保険料や学校行事の費用も、月ごとの積立額として加えると、実際の負担に近づきます。

たとえば、家賃6万円、食費4万円、光熱・通信費2万円、子どもにかかる費用2万円、その他2万円なら、月16万円です。これは相場ではなく、家計を書き出すための例です。地域、家族の人数、進学状況に合わせて、ご自身の数字に置き換えてください。


2.別居中は「婚姻費用」を検討できます


離婚が成立する前の生活費は、子どもの養育費だけでなく、配偶者の生活費も含む「婚姻費用」として整理します。別居したからといって、夫婦の生活費を分担する問題がなくなるわけではありません。

金額の目安は、夫婦それぞれの収入、子どもの人数や年齢などによって変わります。自分に収入がない場合や、夫より収入が少ない場合には、夫に婚姻費用の分担を求められる可能性があります。ただし、具体的な支払義務や金額は事情を踏まえて判断します。

話合いがまとまらない、または直接話し合うことが難しい場合には、家庭裁判所の婚姻費用分担請求調停を利用できます。合意に至らなければ、審判で裁判官が判断します。

大切なのは、「請求すれば、その日から必ずお金が入る」と考えないことです。支払開始まで時間がかかる場合もあるので、請求の時期・方法と、入金までの生活費を一緒に検討しましょう。

関連コラム:婚姻費用の算定表|夫の年収別にいくらもらえる?
https://watashi-rikon.jp/column-20261001-9a5ad386.html
参照:裁判所「婚姻費用の分担請求調停」
https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_07_03/index.html


3.引っ越しの初期費用と、当面の資金を分けて準備


新しく部屋を借りる場合、敷金・礼金、仲介手数料、保証会社の費用、前家賃、引っ越し代、家具・家電の購入費などがかかります。物件によって項目や金額が違うため、契約前に総額と支払期限を確認してください。

実家に身を寄せる場合も、交通費や荷物の運搬費、実家へ入れる生活費、子どもの通学にかかる費用を確認します。初期費用が少なくても、毎月の負担がなくなるとは限りません。

給与、婚姻費用、手当などは、実際に入金される時期がそれぞれ異なります。「使える預金」と「今後入る見込みのお金」を区別し、入金まで何か月生活できるかを計算しましょう。

生活費の受取先として、ご自身名義の口座を確認しておくと整理しやすくなります。夫名義の口座から多額のお金を移すなどの行動は、後で争いになることがあるため、先に相談してください。


4.子どもの手当は、別居だけで全部受け取れるわけではありません


子どもと別居先で暮らす場合は、児童手当の受給者が誰になっているかを確認しましょう。離婚協議中の別居で生計を同じくしていない場合には、子どもと同居している親が受給できる取扱いがあります。離婚協議中であることを確認できる書類などが必要になるため、市区町村に手続と支給時期を相談してください。

一方、「児童扶養手当」は別の制度です。単に夫と別居しただけで、必ず受け取れるものではありません。離婚や、DVに関する裁判所の保護命令などの支給要件に加え、所得等の条件を確認する必要があります。

市区町村では、ひとり親家庭への支援、就学援助、住まいや生活に関する相談窓口なども確認できます。制度の対象、申請時期、支給開始はそれぞれ異なるので、利用できると確認できたものから家計に反映しましょう。

参照:こども家庭庁「児童手当Q&A(配偶者と別居されている場合の取扱いについて)」
https://www.cfa.go.jp/policies/kokoseido/jidouteate/faq/ippan2
参照:こども家庭庁「児童扶養手当について」
https://www.cfa.go.jp/policies/hitori-oya/fuyou-teate/


5.夫名義の財産も、確認しておきましょう


「預金も家も夫名義だから、自分には財産がない」と決めつける必要はありません。婚姻中に夫婦の協力で形成した財産は、夫名義であっても、離婚時の財産分与の対象となることがあります。専業主婦として家事や育児を担ってきた場合も同様です。

別居後は資料を確認しにくくなることもあるため、無理なく確認できる範囲で、次の情報を整理しておきましょう。

・夫婦の収入資料(源泉徴収票、給与明細、確定申告書など)
・預貯金の金融機関名、残高や取引履歴
・不動産、住宅ローン、保険、証券などの資料
・借入れの契約内容と返済状況
・現在の生活費や学費の支払記録

すべて集めてから相談する必要はありません。把握している財産と、分からない財産を分けるだけでも役立ちます。財産分与は、別居直後の生活費としてすぐ受け取れるとは限らないので、当面の資金とは分けて考えましょう。

関連コラム:離婚の財産分与|夫名義の家・預金も対象?
https://watashi-rikon.jp/zaisan-bunyo.html
参照:法務省「りこんポータル・財産分与」
https://www.moj.go.jp/MINJI/parents_012.html


6.健康保険と相談・手続の費用も確認


夫の勤務先の健康保険の扶養に入っている場合は、別居後の取扱いを加入先に確認してください。別居だけで必ず扶養から外れるとは限りません。離婚後に必要となる健康保険や年金の手続、保険料の見込みも、市区町村や勤務先に確認しておくと安心です。

参照:協会けんぽ「被扶養者資格の再確認Q&A」
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/~/media/Files/honbu/cat590/hifufaq2512.pdf

弁護士への相談料・依頼費用は、事務所や依頼内容によって異なります。相談だけの場合の料金、着手金・報酬金・実費、分割払いの可否を、依頼前に確認しましょう。

法テラスには、収入・資産等の条件を満たす方を対象に、無料法律相談や弁護士費用等の立替制度があります。夫が紛争の相手方となる離婚問題では、資力の判定に特別な取扱いがあるため、「夫に収入があるから利用できない」と自己判断せず確認してください。

費用の立替えは、原則として返済が必要な制度です。無料相談と、依頼費用が無料になることは別なので、利用条件と返済方法を法テラスに確認しましょう。

参照:法テラス「無料法律相談・弁護士等費用の立替」
https://www.houterasu.or.jp/site/soudan-tatekae/index-2.html
参照:法テラス「民事法律扶助のしおり」
https://www.houterasu.or.jp/uploaded/attachment/5671.pdf


7.お金の準備より、安全を優先したい場合


暴力や脅し、強い威圧などがあり、自分や子どもに危険を感じる場合は、資金や資料をすべてそろえるまで待つ必要はありません。安全な避難先や生活の支援について、配偶者暴力相談支援センターなどに相談してください。緊急の危険がある場合は110番です。

DV相談ナビ「#8008」では、近くの相談窓口につながります。相談する端末や連絡方法にも気を配り、ご自身にとって安全な方法で連絡してください。

参照:内閣府男女共同参画局「DV相談について」
https://www.gender.go.jp/policy/no_violence/dv_navi/index.html


別居前のお金を整理するチェックリスト


□ 毎月必要な生活費を書き出した
□ 引っ越し・住居の初期費用を確認した
□ 今使えるお金と、入金予定を分けた
□ 婚姻費用の金額・請求方法を相談した
□ 児童手当などの受給者・申請条件を確認した
□ 健康保険・保険料の取扱いを確認した
□ 収入・財産・借入れの資料を分かる範囲で整理した
□ 相談料・依頼費用と、支援制度を確認した

空欄があっても大丈夫です。お金が足りない理由を整理すると、住居を見直す、婚姻費用を請求する、支援制度を確認するなど、次に検討することが見えてきます。


離婚を決める前でも、お金の相談はできます


「お金がないから、今の生活を続けるしかない」と一人で抱え込まないでください。すぐに離婚や別居を決めなくても、ご自身とお子様の生活を守るための準備は進められます。

「わたし離婚」では、現在の収入や生活費、ご希望を伺いながら、別居した場合の見通しや必要な手続を一緒に整理します。資料が十分にそろっていなくても、分かる範囲の情報からご相談いただけます。

※2026年10月2日確認。この記事は一般的な情報です。請求できる金額、制度の利用条件、必要な手続は、個別の事情によって異なります。

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