運営・監修者情報:弁護士 川原俊之(大阪弁護士会)

最初に確認したい、離婚前の準備チェックリスト

- 自分と子どもが安心して過ごせる場所があるか

- 当面の収入と、毎月必要な支出を書き出したか

- 別居する場合の住まいと初期費用を確認したか

- 通園・通学、送迎、預け先の見通しを立てたか

- 収入・財産・子どもの資料を分かる範囲で整理したか

- 親権、子どもと暮らす場所、養育費の質問をまとめたか

- 離婚相談で最初に聞きたいことを決めたか


チェックが付かない項目があっても、準備不足と決めつける必要はありません。「まだ分からないこと」が見えるだけでも、次に相談する内容が具体的になります。


暴力、脅迫、強い支配などがある場合は、資料集めや話し合いより安全を優先してください。安全な端末や連絡先を使えるかも、支援機関や弁護士に相談しましょう。

1.離婚前に、お金の見通しを数字にする

最初に、現在の支出と、別居後に増える支出を分けて書き出します。家賃、食費、光熱費、通信費、保育料、学校関係の費用、交通費など、今の家計から分かる範囲で整理してください。


別居を考えるなら、敷金・礼金、引っ越し費用、家電や寝具などの初期費用も別に計算します。月々の生活費をまかなえても、最初に必要なお金が足りないことがあるためです。


例えば「毎月の支出は18万円、確実な収入は12万円」と書ければ、差額6万円をどう補うかが相談の出発点になります。この金額は説明用の例で、生活費や請求できる金額の目安ではありません。


別居中の生活費については、婚姻費用の分担を相談できます。離婚後の養育費とは区別して確認しましょう。相手が支払わない場合や話し合いができない場合には、家庭裁判所の調停などの手続きがあります。受け取れる金額や支払いが始まる時期は断定せず、収入資料とこれまでの経緯を伝えて相談してください。


手当や助成は、離婚すれば自動的にすべて受けられるものではありません。住む自治体の窓口で、利用条件、申請時期、必要書類を確認し、未確定の給付は確実な収入と分けて考えましょう。

2.住まいと通園・通学を、一緒に確認する

住まいを選ぶときは家賃だけでなく、子どもの登校や送迎、仕事への通勤、病院への行きやすさまで確認します。今の学校に通えるか、転校が必要かによって、毎日の負担が変わります。


確認したいのは、次のような具体的な場面です。


- 朝、誰が子どもを送り出し、送迎するか

- 放課後や長期休みに、どこで過ごすか

- 子どもが発熱したとき、仕事をどう調整するか

- 転居や転校の手続きについて、どの窓口に相談するか


学校や園には、必要な範囲で事情と希望を伝えます。相手に住所を知られることへの不安がある場合は、連絡先や情報の扱いを自己判断で進めず、学校・自治体・弁護士に相談してください。


子どもを伴う別居や転居は、現在の監護状況や安全上の事情によって検討すべき点が異なります。危険が差し迫っている場合は安全を確保し、通常の準備を進める場合は、事前に個別の事情を相談しましょう。

3.必要書類は「収入・財産・子ども」に分けて整理する

離婚相談では、資料が全部そろっていなくても、まず状況を伝えることから始められます。手元の書類を三つに分けると、整理しやすくなります。


収入の資料:自分の給与明細、源泉徴収票、確定申告書など。相手の収入は、適法に確認できる範囲で把握し、分からない場合はそのまま伝えます。


財産の資料:自分が確認できる預金、保険、不動産、住宅ローンなどの情報。財産ごとに、名義・おおよその金額・資料の有無をメモしましょう。名義だけで対象かどうかを決めず、相談時に確認してください。


子どもの資料:学校や園の予定、教育費・医療費、日々の送迎や世話の分担が分かるメモなど。提出が必要かは相談先や手続きによって違うため、準備資料と正式な提出書類を区別します。


資料を集めるために、相手のアカウントへ無断でログインしたり、危険な場所へ戻ったりしないでください。「資料がない」「金額が分からない」こと自体を、質問として相談先に伝えましょう。

4.親権と、子どもの暮らしを分けて考える

2026年4月1日施行の改正により、離婚後の親権は、父母双方を親権者とする場合と、一方を親権者とする場合があります。共同親権がすべての家庭に自動的に適用されるわけではありません。子どもの利益や、虐待・DVなどの事情を踏まえて判断されます。


親権についての希望に加えて、「どこで暮らすか」「日常の世話をどう担うか」「進学や医療の判断をどう進めるか」を具体的に相談しましょう。親権という言葉だけで生活のすべてが決まると考えると、必要な確認が抜けてしまいます。


子どもの様子を記録する場合は、睡眠、体調、通園・通学、困っていることなど、観察できる事実を中心にまとめます。子どもにどちらの親を選ぶか迫ったり、相手への伝言役を任せたりすることは避け、安心して過ごせる環境を考えてください。

5.養育費と親子交流は、具体的な質問を用意する

養育費の相談では、金額だけでなく、支払日、支払方法、いつまで支払うか、進学や医療で特別な費用がかかった場合の扱いを質問します。口約束のまま進めず、合意内容をどのような書面に残すか、未払い時にどのような対応ができるかも確認しましょう。


親子交流については、頻度だけでなく、場所、送迎、連絡方法、予定変更の方法などを具体化すると、相談しやすくなります。ただし、安全への不安や子どもの負担がある場合は、その事情を先に伝えてください。どの家庭にも同じ方法を当てはめる必要はありません。


離婚届を提出する前に、まだ決まっていない条件と、相談が必要な条件を一覧にしておくと、確認漏れを減らせます。

6.離婚相談に持っていくメモを作る

相談の前に、次の四つを1枚程度のメモにまとめてみましょう。


1.現在の状況:同居・別居、子どもの年齢、困っていること

2.希望:子どもの学校を続けたい、生活費を確保したいなど

3.分かっている情報:収入、住まい、手元の資料

4.質問:まず何を準備すべきか、避けるべき行動はあるか


完璧な文章にする必要はありません。相談の冒頭で「今日は、別居前に確認することを優先して知りたい」と伝えるだけでも、時間を使いやすくなります。

よくある質問

離婚を決めていなくても、準備を始めてよいですか?


家計、住まい、子どもの日常を整理することから始められます。準備したからといって、すぐに離婚を決める必要はありません。迷っている点も相談時に伝えてください。


子どもがいる場合、離婚前に何を優先すればよいですか?


自分と子どもの安全を確認し、当面の生活費、住まい、通園・通学の見通しを整理します。安全への不安がある場合は、通常のチェックリストの順番よりも安全確保を優先しましょう。


夫の収入や財産が分からなくても相談できますか?


まず分かっている情報を伝え、足りない資料の確認方法を相談してください。無理に全部そろえてから相談しようとせず、「何が分からないか」をメモして持参しましょう。


共同親権なら、子どもは両方の家に半分ずつ住むのですか?


共同親権だからといって、居住日数が一律に半分ずつになるわけではありません。子どもの暮らす場所や監護の分担は、親権の定めと区別して、具体的な事情に応じて確認します。

子どもの暮らしを守るために、分からないことから相談を

離婚前の準備は、書類を集めることだけではありません。毎月のお金、子どもの送迎、住まい、相談したい条件を具体的にすることが、次の一歩につながります。


チェックできない項目は、そのまま相談する質問になります。わたし離婚の相談受付で、現在の暮らしと不安をお聞かせください。


※2026年10月14日時点で確認した一般的な情報です。個別の判断や手続きは、事情によって異なります。

参考資料・あわせて読みたいコラム

- 法務省:離婚後の子の養育に関する民法等改正(2026年4月1日施行)

- 裁判所:婚姻費用の分担請求調停

- 裁判所:夫婦関係調整調停(離婚)

- 離婚前にすること・全体の準備

- 離婚相談で聞くこと7つ・持ち物

- 養育費・金額と書面の確認

- 親子交流の決め方

- 相談受付

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